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本間拓巳税理士事務所

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日産、600億円超申告漏れ

日産自動車が2007年3月期に、国税当局に事前に相談した上で行った組織再編で申告漏れを指摘されたようだ。
専門性が高いが、税理士としてはとても面白い事例。

以下は、日本経済新聞2009年12月31日26面の記事全文。

日産、600億円超申告漏れ ~子会社再編で 国税指摘に審査請求~

 日産自動車が東京国税局の税務調査を受け、2007年3月期に六百数十億円の申告漏れを指摘されていたことが30日、分かった。全国の販売子会社を再編する際、販社側の債務超過を増資などで解消したことに対し、利益を得たと認定されたもようだ。
 税務上の赤字があったため、過少申告加算税を含めた追徴税額(更正処分)は数十億円とみられる。日産は既に納税を済ませたが、処分を不服として国税不服審判所に審査請求している。
 関係者によると、日産は全国の販売網を再編することを目的に、06年4月、連結対象の販売子会社52社をそれぞれ販売事業52社と資産管理52社に分割。同年7月に資産管理を統括する新会社、日産ネットワークホールディングス(東京・中央)を全額出資で設立。日産ネット社は資産管理52社を吸収合併し、販売事業52社を子会社とした。
 この再編の際、資産管理52社の多くは債務超過だったが、日産が増資を引き受けるなどして債務超過は解消。国税局は、資産管理会社の債務超過解消に伴い、日産ネット社が利益を得たと判断したもようだ。
 日産は「国税当局に事前に相談した上で申告していたが、税務調査の際に当局の見解が変わった。納得できない」としている。

この内容だけでは正確なことはわからないが、産活法認定案件なので、内容によっては経産省を巻き込む大きな問題になりそうだ。

産活法の事業再構築計画によれば、平成18年4月に884億円の増資を行い、同6月に1172億円の減資を行っている。

例えば、資本金1億円の日産プリンス札幌販売株式会社は、資本金1億円の日産プリンス札幌資産管理株式会社を存続会社とする分割を行い、その100%子会社として資本金90百万円の日産プリンス札幌販売株式会社を設立。
その直後、日産自動車引受けの23億円の増資を行い、さらに資本金を10百万円とする減資を実行。
そして、日産不動産と合併し、日産ネットワークホールディングスと社名変更している。

もともとすべて100%子会社同士の分割・合併なので、この内容で非適格と判定されることは考えにくい。
また、従来は債務超過会社の組織再編はできないのではないかと言われていたため、この増減資は債務超過を解消するためのものだと納得することができる。
うん、よくある普通の組織再編だ。

そこで、中身を想像してみた。

例えば、債務超過(-10)の会社に対して増資(20)し、債務超過を解消(10)する。税務上の簿価は20。
しかし、この会社をしかるべきときに売却する際には、会社の価値がかわらないとすれば10で売却し、譲渡損失(-10)が発生する。
これを見越した国税当局は、10を寄附金と認定したのか。

でもこの場合は10の加算(社外流出)と10の減算(留保)が発生し、その年度での課税は発生しないはず。もっと正確に言えば、寄附金で全部が損金不算入とされる訳ではないので減額更正になるはずだ。この場合、売却時に税務上の譲渡損失が否認されるだけだ。

ということは、日産自動車が組織再編直後に10の株式評価損を計上したということかもしれない。
このときに株式評価損を税務上加算しなかっただけなのではないか。

つまり、DESをする場合に時価との差額が寄附金認定される問題と同根だ。

この時点で評価損を加算すべきか否かは議論が分かれるが、私は加算すべきと考える。
法基通9-4-1、9-4-2に該当しない限り、2-3-14が適用されると思われる。
(この場合、子会社のほうに受贈益が発生することになるが、これについては日切れ欠損金の損金算入の規定が適用されることになるだろう。)

もしかしたら、これは事業再編とは関係のない、典型的な寄附金認定案件なのではないか。そうであれば、日産にはやや分が悪いように思われる。

しかし、さて、真相はいかに。



キーワード法人税組織再編専門家向け新聞記事より


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